xlab’s diary あやしい時代

感じたことを、感じたままに

「無言館」(戦没藝大生の絵画集)を読む ~絵画とは、言葉ではない、もう一つの表現の巻~

無言館 (アートルピナス)

 

 

日本美術界に新風を吹き込まんと、高い使命をもって画家を目指し、わが国最高峰の「東京美術学校」(後の東京藝術大学)に入学した彼ら。

彼らは、何故に志半ばにして死なねばならなかったのか・・・

 

 

この書は、戦没した藝大生の紛れもなきレクイエム。

それは言葉ではない。

彼らが若き命を燃やして描いた絵画である。

だからこそ、私の心の奥底にある「柔らかい部分」を容易に切り刻むのかもしれない。

 

 

生き残っていれば、やがては巨匠と呼ばれるまでになれた者も少なくなかったろう。

生き残っていれば、多くのこと子供たちに「美的なるもの」を教えてくれる人(教師)として教壇に立った者も少なくないだろう。

それなのに、どうしても生きたいと願う「明日」という日はこなかった。

 

 

ある者は、敵の銃弾に倒れ苦しみぬいて死んだ。

ある者は、B29からの爆弾の直撃と受け、遺髪すら残らなかった。

ある者は、まともな器具や薬品すら無くなった野戦病院で死んだ。

ある者は、戦死の通知が来たが、誰に聞いても死んだ状況はわからなかった。

 

 

国家間での戦争で戦うのは、軍(私たちであれば自衛隊)ではない。

赤子まで含む全国民である。

これは徴兵されるとか、そんなことではない。

現代の戦争は局地戦ではなく、往々にして総力戦になってしまうのだから。

 

 

美しい国」なんか必要ない。

歪(いびつ)な国でも良い。

否!

むしろ「美しい国」の裏には、おぞましい顔が隠されているように思えてならない。

 

 

戦争の本当の恐ろしさを、私は知らない。

というより、私たちのほとんどが戦争の実体験を知らない。

軽々に戦争云々を語るべきではないのだろう。

 

 

美しい国

恐ろしい言葉だと、私は思う。