xlab’s diary あやしい時代

感じたことを、感じたままに

温故知新(その23) チャールズ・ブコウスキー「町でいちばんの美女」を読む ~アンダーグラウンド、パンク、絶望、そして、希望~

『良い政府なんてものはないんだ。
 あるのは悪い政府と、もっと悪い政府だけだ。』

 

どこかで読んだ、この言葉がズッと頭に残っていた。
この斜めからモノを見るような感覚が新鮮に思えたからだ。

 

『俺には二つの原則がある。
 一つはパイプでたばこを吸うヤツは絶対信用しない。
 もう一つは、靴をピカピカに磨いているやつは絶対に信用しないってことだ。』

 

何なんだろう。
このクールさは・・・


で。。。


本題の「町でいちばんの美女」なんだけれど・・・
素晴らしい作品に思えた。

 

日本の文壇にも無頼派って呼ばれる方々がいらっしゃったそうだけれど、そんなものとも違う。
何とも表現し難いのがもどかしい。

 

作品の底流にあるのは、どうしようもない絶望だ。
それは分かる。

 

どんな男ともわずかな金で寝るが、そんな男どもを軽蔑していた女は、自分を必要としていた男の願いを断り、自殺した。
しかし、読み終わった後に、何故だかかすかな希望を感じるんだ。

 

この小説・・・といえるのかどうかは分からないが、一つだけ言えることがある。
男性の作家は概して"女"を書けないが、この作家は違うってこと。

 

だって、男の弱さをさらけ出しちゃって、何も飾っていないんだもの。
そのくせ、"女"のことを心底、真面目に見つめているもの。

 

この一点だけでも、この作品は評価に値すると・・・思う。
そして、絶望の向こう側にある微かな裂け目から見える、一滴の希望。

 

もちろん、これは単行本の中に収録されている表題作以外の作品を合わせて読んだからかもしれない。
どうしようもない自分が歩いている、ただ、歩いている・・・そういう感じの作品群。

 

同じ作家の手による『くそったれ! 少年時代』は、もっと面白いらしいけど、今の私には必要ない。
この単行本一冊で十分。

 

退屈な日常をただ漫然と生きていく。
その繰り返しに、真実はあるのかもしれないから。