xlab’s diary あやしい時代

感じたことを、感じたままに

温故知新(その19) 重信 房子「革命の季節 パレスチナの戦場から」を読む ~70年代の日本を覆っていた狂気じみた熱狂に関する一考察として~

趣味
革命の季節 パレスチナの戦場から
(出所:Amazonより)

 

 

1970年代の日本。
いわゆる"インテリ"と呼ばれた階層の若者は、何故、狂気ともいうべき熱狂(熱病)にとりつかれていたのでしょう。

 

 

よど号事件」関連の資料を読んでいたとき、信じられないほど無邪気で脳内お花畑状態のイカれた方々が日本に次々と湧き出てきたのに軽ぅ~く衝撃を受けたんです。
その理由が知りたくて、この本を読んでみたというわけ。

 

 

革命思想そのものが間違っているとは思いません。
むしろ、革命思想をやみくもに危険思想であると考える風潮にこそ危惧をおぼえます。

 

 


もとより。。。

 

 


著者らが引き起こした事件は犯罪であり、テロ行為である。
それは紛れもない事実。

 

 

しかし、パレスチナ側からみれば、彼らは同志であり英雄。
多数の命を無差別に奪ったテロ事件ですらも、一方の情報だけでは事件の本質は分からない。

 

 

この本に描かれた内容を、唾棄すべき犯罪者の独白録とみるのはもったいない。
彼女/彼が、何故に国際指名手配されるような犯罪者となりしか、その背景を知っておくべきでしょう。

 

 


そもそも。。。

 

 


如何なる犯罪においても、その結果(行為)だけを切り取って判断することは正しい行為だとは思えません。
特に政治犯の場合、その結果の成否にかかわらず、自己の生命を危険に晒しても戦うことを選択することに至った経緯を知らずして、犯罪者の戯言など聞く耳を持たぬ、というのは余りにも寂しい。

 

 

もっとも、ボリビアに散ったチェ=ゲバラのような自己の命をかけて国家の転覆を図った革命家を偶像化して礼賛する如き行為にも賛同できません。
ただただ情報を集め、分析するのみ。

 

 


さてさて。。。

 

 


この本の版元である幻冬舎の社長の見城徹さん。
彼はこの本の序文で興味深い"告白"をしていらっしゃいます。

 

 

国家権力と真正面から闘った者たちは死んだ。
あるいは、生物的な死は免れても、逮捕されて社会から抹殺された。

 

 

当時のインテリ層には、いくら言い訳しようとも、結局、国家権力との真っ向勝負にブルっちゃった自分への嫌悪感が拭えない、といったものが同時代を生きた者の共通感覚として未だに生き続けているのかもしれませんね。
言い換えれば、頭の中ではあれほど蔑んでいたはずの日和見主義者へと堕した己の弱さと卑怯さに対する"後ろめたさ"がズッとココロのどこかにつっかえて取れない、っていった感覚。

 

 

見城さんの告白には、そんな「後ろめたさ」を意図的に忘れるために、カネがすべてを支配する世俗社会での立身栄達を必死になって追い続けてきた全共闘時代のある種の慟哭を感じます。
卑怯者である自分ができる、せめてもの償いとして、この本を世に送ったというのは本音なのでしょう。

 

 


もっとも。。。

 

 


こういう「もっともらしい理由付けをやたらとしたがる」というのも、この世代の共通した傾向なのかもしれません。
「俺は卑怯者だ・・・」ってカッコつけて言われても、時代意識を共有していない平成生まれの者からすれば、むしろ胡散臭さが漂います。

 

 

到底勝ち目のないと思われる勝負であっても、敢えて真正面から戦うことを選択する・・・そんなことを是とするのは、今では漫画の主人公ぐらいのもの。
しかも、ドー考えてもあり得ない展開、それも「うそぉ!」って言葉を忘れるぐらい一気に何光年もぶっ飛んだ展開から主人公が勝っちゃうんですけど。

 

 

・・・

 

 

口で批判するだけでは何も変わらない。
だからといって、既存の権力を打倒し、従前の価値観を真逆のものへと塗り替えるために、如何なる手段の行使も許されるなんてわけがありません。

 

 

結局、一時的な熱狂に身を委ねただけではないのか?
もっといえば、一見すると鋭い感性の持ち主のようにも思えるが、ホントのところは、暇を持て余した者たちが"無邪気に正義だと信じ込んだ直観"だけで突っ走った挙句の大事故ではないのか?

 

 

そのくせ、世間受けを狙ってのヒューマニズムの刷り込みだけは決して忘れない。
そういった側面を軽視して良いのかしら・・・

 

 


というわけで。。。

 

 


強引にまとめちゃうと・・・

 

 結局、みんな、自分が可愛いのね

 

あるいは、

 

 ホント人間って、どこまで行っても、自分が好きなのね

 

ってことかしら。

 

「オイオイ、なんだよ、そのまとめ(怒)」

 

って思った方は、この本を手に取ってみてね。
実際に読んでみないと分からない類の本ですから、コレ。