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xlab’s diary あやしい時代

感じたことを、感じたままに

温故知新(その18) 花の名前

人は言う
愛は川のようなものだと

ひっそりと隠れるように生える葦さえも
無遠慮に溺れさせてしまうから

人は言う
愛は刃物のようなものだと

ただ穏やかでいたいと願う思いさえも
容易に切り裂いてしまうから

人は言う
愛は渇きのようなものだと

堪え難いほどの苦しみや悶えさえも
果てることなく続いてしまうから

 

私は思う
愛は花のようなものだと

例えば、人は種のようなもの
やがて愛という花を咲かせるから

 

傷付くことが怖いから
いつまでも踊れないままでいる

夢から目覚めることを恐れるから
いつまでも機会を失ったままでいる

誰かに奪われてしまわないかと疑うから
いつまでも与えることができないままでいる

死ぬことを恐れる余り
生きる目的自体を失うように

 

いつ日が明けるのか分からぬ夜に
終わりの見えない道をたった一人で歩くとき

寂しさと心細さが積み重なって
愛なんて自分のような者には無縁なもの

そんな風に思い込んだりしていない?
だったら思い出して

凍えるような冬の間
降り積もった雪の下

種は見えぬはずの太陽を信じて
やがて訪れる春に花を咲かせる

人は種
愛は花

その花の名前は
咲かせた人にしか分からない